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『リエゾン』はなぜ炎上したのか?児童精神科医の漫画が批判された理由と反論 リード文

2020年から『モーニング』で連載されている漫画『リエゾン -こどものこころ診療所-』は、児童精神科医を描く医療漫画です。

しかし、この作品は1話目から曝露法という治療法の描写がひどいとして、医師や心理士などの専門家から批判を受けました。

また、2023年にテレビドラマ化された際にも、原作との違いやキャスティングなどに不満を持つ声がありました。

本記事では、『リエゾン』がなぜ炎上したのか、その理由と反論をまとめて紹介します。

曝露法の描写がひどいと批判された理由

『リエゾン』の1話目で、主人公の研修医・遠野志保は、児童精神科医・佐山卓が率いる「佐山・こどもクリニック」に赴任します。そこで彼女が目にしたのは、潔癖症の男の子・ユウ君が泣き叫びながらトイレに連れ込まれる光景でした。佐山卓はユウ君の手を無理やり便器の水につけて、「これは曝露法です」と説明します。

曝露法とは、恐怖や不安の原因になる刺激や状況に段階的にあえてさらすことで不安反応を消す方法です。しかし、このシーンは実際の曝露法とは異なります。実際の曝露法では、患者が自分に必要だと理解し、納得して取り組む治療です。嫌がる患者の手を抑えつけて無理やりやらせるものではありません。

このシーンは、医師や心理士などの専門家から批判を受けました。彼らは、この描写が曝露法に対する誤解を招くとして、Twitterなどで疑問や不満を表明しました。また、一般の読者からも、「これは虐待だ」「こんな治療があるなんて恐ろしい」「子供たちが傷つく」といった声が上がりました 。

曝露法の描写への反論

一方で、『リエゾン』を擁護する声もありました。その中でも最も注目されたのは、原作担当である竹村優作氏のブログ記事です。竹村氏は、「曝露法」ではなく「曝露反応妨害法」という言葉を使うべきだったと認めつつも、以下のような反論を展開しました。

  • 作品はフィクションであり、実際の治療法を正確に再現する必要はない
  • 作品は児童精神科医の杉山登志郎氏が監修しており、信頼できる内容である
  • 作品は曝露反応妨害法の効果や必要性を伝えることを目的としており、患者や家族に寄り添う姿勢を描いている
  • 作品は曝露反応妨害法の過程や結果を多角的に描いており、単純化や美化していない

竹村氏の記事に対しては、賛否両論の意見が寄せられました。賛成派は、「作品の表現の自由を尊重すべきだ」「監修者がいることは信頼できるだろう」「曝露反応妨害法の効果や必要性を知ることができた」といった声を上げました 。反対派は、「フィクションでも医療漫画としての責任がある」「監修者がいても間違った描写は許されない」「曝露反応妨害法の誤解や恐怖を招く可能性がある」といった声を上げました 。

テレビドラマ化での炎上

『リエゾン』は、2023年にテレビドラマ化されました。主演は山崎育三郎さんで、佐山卓役を演じました。しかし、このドラマ化にも批判がありました。その理由は以下のような点です。

  • 原作との違いが多い
    • ドラマでは、原作とは異なるキャラクターや設定が登場しました。例えば、志保の恋人役の川島雅紀や、佐山卓の兄弟役の佐山茂などです。また、原作では1つのテーマを複数回に分けて描いていたものが、ドラマでは1話完結で描かれたり、逆に複数のテーマが混ざって描かれたりしました。これらの変更に対して、原作ファンから「原作の良さが失われている」「原作に忠実にしてほしい」といった不満が出ました 。
  • キャスティングに不満がある
    • ドラマでは、主演の山崎育三郎さん以外にも、松本穂香さんや栗山千明さんなど豪華なキャストが揃っていました。しかし、一部の視聴者からは、「キャストと役柄が合っていない」「キャストが若すぎる」「キャストが有名すぎる」といった不満が出ました。

『リエゾン』はなぜ炎上したのか?児童精神科医の漫画が批判された理由と反論 リード文【まとめ】

『リエゾン』は、児童精神科医を描く医療漫画ですが、曝露反応妨害法の描写がひどいとして炎上しました。

また、テレビドラマ化された際にも、原作との違いやキャスティングなどに不満を持つ声がありました。

これらの批判に対しては、原作担当やドラマファンや原作ファンから反論が出されました。

『リエゾン』は、医療漫画としての責任や表現の自由という問題を提起する作品です。