アリシアクリニックの破産についてまとめ!前払金は返金される?

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『え、明日予約してたのに…』。突然の知らせに、多くの利用者が戸惑いの声を上げています。

大手医療脱毛クリニック「アリシアクリニック」が破産を申請し、全店舗が営業を停止

この影響を受けた利用者は9万人以上負債総額は124億円超にのぼると報じられています。

渋谷や新宿などの繁華街に店舗を構え、安心と信頼をアピールしていたアリシアクリニック。

30万円も払ったのに…』『お金を返してほしい!』といった声が、SNSでは相次いでいます。

前払金は返ってくるのか?返金が受けられる可能性、そしてクレジットカード払いをしている場合の今すぐ取るべき行動について解説します。

利用者がこれからすべき手続きについて、わかりやすくご紹介します。

アリシアクリニックの破産について

2024年12月10日、大手医療脱毛クリニック「アリシアクリニック」を運営する医療法人社団美実会と関連法人が東京地方裁判所に破産を申請し、同日付で破産開始決定を受けました。

これにより、全国に展開する40以上の店舗がすべて閉鎖され、1500人の全従業員が解雇される事態に発展しました。

特に衝撃的なのは、利用者9万人以上とみられる顧客たちです。中には前日に契約したという方まで。前日まで契約をとっていて、突然の破産。ひどすぎます。

破産の原因は?広告費の膨張?

アリシアクリニックの破産理由について、日本脱毛安全普及協会の山岸純代表理事は「広告費のかけすぎが原因だ」と指摘しています。

近年、脱毛業界では過度な広告競争が起きており、広告費が高騰しているのが実情です。特に、SNS広告やWeb広告の入札価格が上昇し、他社との競争が激化する中で、広告費用が経営を圧迫。これが、「業界全体での共倒れ」を招いた一因とされています。

さらに、新型コロナウイルスの影響で利用者が一時的に減少したことや、消費者の支払い能力の低下も追い打ちをかけた可能性があります。

これらの要因が複合的に重なり、最終的に124億円を超える負債を抱えたまま破産に至ったのです。

影響を受けたのは「9万人の利用者」と「前払金30万円超の未施術」

影響人数:9万人以上

負債総額:124億円

店舗数:40店舗以上(渋谷、新宿などの大都市を含む)

従業員数:1500名(すべて解雇)

利用者の中には、30万円以上の契約をしていた人や、施術がまだ終わっていない人が多数いました。「前払金を支払ったけれど、まだ10回以上の施術が残っている」という人が続出しています。

また、現場では貼り紙が張り出され、破産の事実が告知されると、多くの利用者が店舗の前に集まりました。「返金はできない」との文言を目にした利用者は、怒りや不安の声を上げています。

なぜ大手の脱毛サロンが次々と倒産しているのか?

アリシアクリニックだけでなく、2024年には「銀座カラー」や「ウルフクリニック」も破産しています。大手が連続して倒産するのはなぜでしょうか?

まず挙げられるのが、広告費の過剰支出です。脱毛業界では集客のための広告費が高騰しており、特にWeb広告やSNS広告の入札価格が上昇。これにより、利益の多くが広告費に消える構造が続いています。業界全体が広告競争に巻き込まれた結果、共倒れの状態が生まれています。

次に、「永久通い放題プラン」の収益性の低さが問題視されています。多くのクリニックが導入しているこのプランは、一定の金額を支払えば無制限に施術が受けられるというものです。しかし、利用頻度の高い顧客がいると利益率が低下し、コストの方が上回るケースが多発。これにより、収益が頭打ちになるという事態が発生しています。

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大もクリニックの経営に大きな影響を与えました。外出自粛や感染予防のための予約キャンセルが続き、店舗の稼働率が大幅に低下。一度離れた顧客が戻らなかったため、業績の回復が難しい状況が続きました。

最後に、人件費の上昇も倒産を加速させた要因の一つです。クリニックの運営には、施術を行うスタッフや受付スタッフの人件費がかかりますが、昨今の賃金上昇の影響で労働コストが上昇しています。賃上げが行われたことで、人件費の負担が利益を圧迫し、経営が行き詰まる事態に発展しました。

前払金はどうなる?「返金が極めて難しい」との記載

こちらの「アリシアクリニック破産について」と題された通知書には、「未施術分の前払金は返金が極めて難しい」との注意書きが掲載されました。

詳しくはこちらのPDFをご確認ください:アリシアクリニック破産について

これにより、現金払い、銀行振込で支払った人は、返金を受けるのが極めて困難な状況です。というのは、前払金が「一般破産債権」に該当するためです。

一般破産債権は、他の「財団債権」や「優先的破産債権」の支払いが終わった後に配当が行われるため、ほとんどのケースで配当が行われないか、配当率が数%程度になるのが通例です。

返済の優先順位

返済の優先順位を表にすると以下のようになります。

順位 債権の種類 具体例 返済の可能性
第1位 財団債権 破産手続きの費用、破産管財人の報酬

100%支払われる

第2位 優先的破産債権 従業員の未払い給与 、税金、社会保険料 ほぼ100%支払われる
第3位 一般破産債権 消費者の前払金、取引先への未払い金、銀行からの借入金 配当があれば支払われるが、可能性は低い
第4位 劣後的破産債権 株主の配当請求権、会社役員の貸付金 支払われる可能性はほぼゼロ

クレジットカード払いの場合は?

クレジットカード払いをしている人にとっては、まだ希望が残されています。

クレジットカードで支払った場合は、「支払停止の抗弁権」を行使して、未施術分の支払いを停止することが可能です。

これは、消費者を守るために設けられた「特定商取引法」に基づく権利で、未施術のサービスに対する「支払いの停止を請求する権利」です。特に、今後支払う予定の未施術分に関しては支払いを止められる可能性が高いため、すぐに行動を起こすことが重要です。

支払停止の抗弁権とは?

支払停止の抗弁権とは、クレジットカードを使って購入した商品やサービスが受け取れなかった場合に、クレジットカード会社に支払いの停止を求めることができる制度です。

この権利は、特定商取引法第59条に基づく消費者保護のためのルールで、消費者が被害を受けた場合、支払いを止められるようにするための仕組みです。

支払停止の抗弁権を行使する手順

支払停止の抗弁権を行使するためには、クレジットカード会社に連絡して手続きを行う必要があります。

こちらに簡単に手順を紹介します。(国民生活センターの記事もご参考ください。)

【手続きの流れ】

1.クレジットカード会社に連絡する
まずは、クレジットカード会社のカスタマーサポートに電話をかけます。
そこで「支払停止の抗弁権を行使したい」と伝え、未施術の分の支払いを止めたい旨を相談します。

2.証拠資料を提出する
破産の証明書や告知書(破産管財人からの通知メールや、店舗に掲示された「破産のお知らせ」の写真など)
クレジットカードの明細書(支払い内容がわかるもの)
契約書(アリシアクリニックと交わした契約書、プランの明細がわかるもの)

3.クレジットカード会社が審査を行う
クレジットカード会社が提出された資料を基に審査を行います。
破産の事実や未施術分の有無を確認した上で、未施術分の支払いが止められるかどうかを判断します。

4.支払いの停止が認められる
クレジットカード会社が支払い停止を承認すれば、未施術分の支払いは不要になります。

支払停止の抗弁権の対象になるのはどの部分?

支払停止の対象は、未施術の分のみです。

支払い方法  支払停止の対象 返金の可能性
クレジットカード一括払い 未施術の分が対象 今後の支払いが止まるが、すでに支払った分は返金されない
現金払い 対象外 ほぼ返金不可
銀行振込 対象外 ほぼ返金不可
クレジットカード分割払い 未施術の分が対象 今後の支払いが止まるが、すでに支払った分は返金されない

クレジットカード会社の審査が通らなかったら?

もしクレジットカード会社が支払停止を認めない場合は、消費生活センター(188)に相談するのが効果的です。

消費者庁の支援を受けることで、クレジット会社に対する交渉がスムーズに進む可能性があります。

すでに支払った分は返金されません

支払停止の抗弁権は、「これから支払う予定の分」を止める権利です。

すでに支払った分は、アリシアクリニックの破産財団の中に入っており、一般破産債権として取り扱われます。そのため、返金の可能性は極めて低いです。

銀行口座を空にしてもクレジットカードの支払いは止まらない

SNSでは、「クレジットカードの引き落とし口座を空にすれば支払いを止められる」といった情報を見かけることがありますが、実際にはこの方法は効果がなく、逆効果になる可能性が高いです。

その理由は、クレジットカードの支払いは「利用時点」で債務が確定する仕組みだからです。クレジットカード会社は、消費者がカードを使った時点で、事業者(今回の場合はアリシアクリニック)に対して立て替え払いを行っています。そのため、すでに立て替えられた金額は、消費者が支払う義務が生じるのです。

もし銀行口座を空にしても、引き落としができないだけであり、消費者の支払い義務は消えません。むしろ、「延滞」扱いとなり、遅延損害金が発生します。さらに、クレジットカードの利用停止や、信用情報(CICやJICC)に「延滞の記録」が登録され、ブラックリスト入りするリスクも高まります。

銀行口座を空にして支払いを回避するのではなく、「支払停止の抗弁権」を行使する方法が正しい手段です。

脱毛クリニックを契約する際の注意点

脱毛クリニックを選ぶ際、「お得なプラン」や「永久通い放題」の広告に惹かれがちですが、安さだけで判断するのは危険です。最近では大手クリニックの破産が相次いでおり、前払金が返金されないケースが多発しています。

特に、前払金の一括払いはリスクが高いため、手数料がかかっても「都度払い」や「後払いプラン」を選ぶ方が安心です。倒産しても支払った分だけの損失で済むため、最悪の事態を回避できます。

また、クリニックの経営基盤を見極めることも大切です。運営企業が上場企業か医療法人かをチェックし、過度な広告を出している企業は注意が必要です。安さやキャンペーンの魅力だけで判断せず、支払い方法と運営企業の信頼性を重視するのが、後悔しない選び方のポイントです。

まとめ

今回の記事をまとめます。

アリシアクリニックが2024年12月10日に破産手続きに入り、すべての施術が中止されました。現実的には消費者の前払金は「一般破産債権」に該当するため、返金される可能性は低いです。

ただし、クレジットカードで支払った未施術分は支払い停止が可能な場合があるため、早めにクレジット会社に連絡することが重要です。

現金払いや銀行振込で支払った人は、破産管財人からの通知を待ち、「債権届出」を行う必要があります

最後に、

本当に9万人もの人がアリシアクリニックに騙されたという現実が信じられません。アリシアクリニックで働いていたスタッフの方々も11月分の給料も、12月分の給料も振り込まれていないというSNSの投稿を見かけました。もちろん冬のボーナスもないでしょう。

被害がどんどん膨れてきて、全貌がまだまだ掴めませんが、これから脱毛クリニックを選ぶ際は、事業者の財務状況や信頼性にも目を向ける必要があるでしょう

一見、「お得に見えるプラン」や「永久通い放題」といった広告に惹かれがちですが、企業の経営基盤が安定しているかどうかを見極めることも大切なポイントです。

被害者が泣き寝入りしないためにも、クレジットカードの支払停止の抗弁権の行使や、消費者センターへの相談を早めに行うことが必要です。「まだ大丈夫」と思わず、行動を早めることが重要です

未施術の方への返金と、従業員の皆さまへの給与が確実に支払われることを心より願っております。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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