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『宝石の国』フォスの最終形態は七宝か人間か?漫画と仏教の関係を考察

『宝石の国』は、市川春子さんによる人気漫画で、硬度や色によって個性や役割が決まる宝石たちが主人公です。

彼らは月からやってくる敵・月人に襲われながらも、金剛先生という仏像のような存在に導かれて生きています。

物語の中心にいるのは、最弱の宝石・フォスフォフィライト(愛称・フォス)です。

フォスは戦闘中に体を失ったり、月人に連れ去られたりしながらも、次第に姿や性格を変えていきます。

果たして、フォスの最終形態はどうなるのでしょうか?漫画と仏教の関係から考察してみましょう。

漫画『宝石の国』でのフォスの変化

漫画『宝石の国』では、フォスは物語の始まりから現在までに7回も身体の変化を経験しています。それぞれの変化は以下の通りです。

– 変化1:海で失った両足をアゲートと貝殻で補う
– 変化2:流氷で失った両腕を金と白金で補う
– 変化3:月人に奪われた頭部をラピス・ラズリで補う
– 変化4:ラピス・ラズリの髪を失って短髪になる
– 変化5:月で埋め込まれた合成真珠を左目に持つ
– 変化6:シンシャとの戦いで水銀を取り込む
– 変化7:金剛先生の右目を自分の意思で埋め込む

これらの変化によって、フォスは最初は硬度3.5だった体が硬度10まで上がり、戦闘能力や知性も高まりました。しかし、同時に記憶や感情も失っていきました。フォスは自分が何者なのか、何を目指しているのか、わからなくなってしまいました。

仏教と『宝石の国』の関係

『宝石の国』は仏教と深い関係があります。まず、金剛先生は仏像であり、宝石たちは金剛先生を師匠として尊敬しています。金剛先生は宝石たちに仏教用語や教えを話したり、仏典を読んだりしています。また、宝石たちが住む島は四天王寺という名前であり、四天王寺は日本最古の寺院です。

さらに、宝石たちが身体を構成する鉱物はほとんどが仏教で「七宝」と呼ばれるものと一致しています。仏教では、七宝とは金・銀・真珠・瑠璃・珊瑚・水晶・瑪瑙のことで、仏像や塔などに飾られる貴重なものです。『宝石の国』では、これらの鉱物が宝石たちの名前や個性になっています。例えば、フォスは最初は瑪瑙(メノウ)でできていましたが、変化するごとに金や真珠や水晶などの七宝になっていきました。

フォスの最終形態は七宝か人間か?

フォスが身体を変えていくことには、仏教的な意味があると考えられます。仏教では、人間は六道輪廻という苦しみの連鎖から解脱することを目指します。そのためには、欲望や執着を捨てて悟りを開く必要があります。フォスもまた、記憶や感情を失っていくことで、自分の欲望や執着を捨てているのかもしれません。そして、最終的には七宝になることで、仏教の象徴である金剛先生に近づくことができるのかもしれません。

しかし、一方で、フォスは人間になることも目指しているようです。フォスは月人たちと交流する中で、彼らが人間の末裔であることを知ります。そして、人間はかつて宝石や月人や肉の者を一つにした存在だったことも知ります。フォスは自分が何者なのかを知りたいという強い願望を持ちます。そして、金剛先生の右目を自分の意思で埋め込むことで、人間の要素である骨(金剛先生)と肉(合成真珠)と魂(自分)を揃えることに成功します。

『宝石の国』フォスの最終形態は七宝か人間か?漫画と仏教の関係を考察まとめ

『宝石の国』フォスの最終形態は七宝か人間か?漫画と仏教の関係から考察してみました。フォスは身体を変えていくことで、仏教的な解脱や人間的な統合を目指している可能性があります。しかし、その過程で自分自身を失ってしまう危険もあります。フォスは本当に幸せになれるのでしょうか?漫画の最終回が待ち遠しいです。